京都「遅咲き桜」のお花見スポット~大原編~
平安時代から都人に愛された大原

ブラタモリ「京都・大原~なぜ大原は“癒やしの里”になった?~」が2022年にオンエアされ、“癒しの里”として注目度が俄然アップした京都大原。
平安時代のいにしえより多くの人に安らぎを与えてきた癒やしの里・大原に人々は何故、癒やされに来るのか?
その秘密とは、どこか懐かしい長閑な日本の原風景と周囲の山々の豊かな自然、点在する歴史あふれる寺院、高野川の水と「小野霞」(おのがすみ)と呼ばれる朝霧が生み出す豊かな食材にあります。
大原エリアは、京都市左京区の北東部、比叡山の北西麓に位置する四方を山々に囲まれた盆地で、日本海の若狭から京都に海産物を運ぶ「鯖街道(若狭街道)」の中継地点でもあった地。
鴨川の支流、高野川の清冽な流れが里を潤しています。京都市内からわずか約30分の場所にもかかわらず、田園風景が残り、ホタルが舞う清流や四季折々に美しい花々が咲き、食材の宝庫として、心癒やされる自然豊かな地です。
京都駅からでも地下鉄とバスを乗り継げば約40分、都会の喧騒に疲れたら少しだけ足を延ばすだけで辿り着ける場所。
そんな大原の里でこの春、遅咲きの桜を愛でながら山里を散策し、心身ともに癒されてみませんか。
市内中心部より山あいにあり、約1週間遅れで開花が始まります。京都市内で満開の桜を見逃してしまった方も、大原の里ならまだまだ間に合います。

大原三千院~しだれ桜と苔むす庭園で癒される~

三千院は大原の里に来たなら外せないスポット。デューク・エイセスの1966年(昭和41年)のヒット曲「女ひとり」でよく知られてます。
山号は魚山(ぎょざん)といい、天台宗五箇室門跡のひとつでもあります。
門跡(もんぜき)とは皇室一門や公家の方が出家して住職を務める寺院で、皇室と関わりのある格式高い寺院とされています。
三千院のご由緒は、伝教大師・最澄が比叡山東塔南谷(とうとうみなみだに)の山梨の大木の下に一宇を構えたことに始まり、慈覚大師円仁に引き継がれ、最雲法親王入室により、平安後期以降、皇子皇族が住持する宮門跡となりました。
三千院の代表的な風景と言えば宸殿前の池泉回遊式庭園「有清園(ゆうせいえん)」。
青々とした苔と杉木立の庭に往生極楽院(重要文化財)が建ち、内陣には阿弥陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩の阿弥陀三尊像(国宝)が安置されています。
桜の見どころは何と言っても三千院の玄関口でもある御殿門(ごてんもん)を彩るしだれ桜。
様々なパンフレットにも採用されおり、春の大原を代表する風景です。
客殿の池泉観賞式庭園・聚碧園(しゅうへきえん)には、西行法師のお手植えとも、頓阿(とんあ )上人の友、陵阿(りょうあ)上人のお手植えとも伝えられてる古木「涙の桜」と石楠花(シャクナゲ)が庭園に華を添えています。
宸殿より往生極楽院を眺める池泉回遊式庭園・有清園(ゆうせいえん)では山桜と石楠花が庭園と往生極楽院を淡く染めあげます。
護摩祈祷を行う祈願道場である金色不動堂と桜のコントラストも見逃せません。
石楠花は開花期間が長くゴールデンウイークまで参拝者の目を楽しませてくれます。

スポット情報

エリア名大原
スポット名三千院
所在地京都市左京区大原来迎院町540
アクセスJR京都駅から京都バス17号系統大原行、四条河原町(京都河原町駅)、三条京阪(京阪三条駅)から京都バス16・17号系統大原行、地下鉄国際会館駅から京都バス19系統大原行乗車、大原バス停下車徒歩約10分
拝観時間9:00~17:00(11月:8:30~17:00、12月~2月:9:00~16:30)
拝観料大人:700円、中学生・高校生:400円、小学生:150円
TEL075-744-2531
URLhttp://www.sanzenin.or.jp
Instagramhttps://www.instagram.com/sanzenin_temple_official/
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宝泉院~額縁庭園はまるで一服の絵画のような風景~

写真提供(上・中):京都フリー写真素材

宝泉院(ほうせんいん)は天台宗の仏教が栄えた大原の中心的道場である勝林院(大原寺)の僧坊として約800年前よりあった古刹。
山門をくぐると宝泉院のシンボルである樹齢約700年の近江富士をかたどった天然記念物の五葉の松が参拝者を出迎えてくれます。
書院は江戸時代前期に再建され、廊下の天井は伏見城の遺構で伏見城中で自決した徳川の武将達の供養のため、自決の場の床を天井にした「血天井」として知られてます。
書院に敷かれている緋毛氈に座り眺める庭園は、池の形が鶴、築山が亀、山茶花の古木を蓬莱山とみたてた「鶴亀庭園」と客殿の西方を柱と柱の空間を額に見立てて鑑賞する額縁庭園「盤桓園」(ばんかんえん)は、書院からの眺めはまるで一服の絵画を鑑賞しているような美しさで、別名「額縁寺」とも呼ばれています。
若葉のなかに一本だけ咲いている里桜は、より一層庭園に彩を添えています。
拝観時には抹茶とオリジナル和菓子のおもてなしがあり、美しいお庭を眺めながら一服できます。
和菓子は「ひととき」といい、若狭屋末則謹製の求肥で粒あんを包んだニッキ風味のものです。

スポット情報

エリア名大原
スポット名宝泉院
所在地京都市左京区大原勝林院町187
アクセスJR京都駅から京都バス17号系統大原行、四条河原町(京都河原町駅)、三条京阪(京阪三条駅)から京都バス16・17号系統大原行、地下鉄国際会館駅から京都バス19系統大原行乗車、大原バス停下車徒歩約10分
拝観時間9:00~17:00
拝観料大人:800円、中・高生:700円、小学生:600円 ※お抹茶、オリジナルのお菓子付
TEL075-744-2409
URL http://www.hosenin.net
Google Maphttps://goo.gl/maps/Agzaf4S5TWS6ivia9

寂光院~平徳子(建礼門院)ゆかりの寺院に咲く銘木「汀の桜」~

写真提供(下):京都の桜写真

寂光院は飛鳥時代の推古2年(594年)に聖徳太子が父・用明天皇の菩提を弔うために建立されたと伝えられる天台宗の尼寺。
初代住持は聖徳太子の御乳人であった玉照(たまてるひめ)で、日本仏教最初の三比丘尼の御一人で慧善比丘尼と呼ばれています。
その後、代々高貴な家門の姫君らが住持となり法燈を守り続けています。
第3代の平徳子・建礼門院(平清盛息女・高倉天皇中宮・安徳天皇母)は、文治元年(1185年)に入寺し真如覚比丘尼と称されました。
源平の合戦に敗れた後、壇ノ浦で滅亡した平家一門と入水し8歳の幼さで亡くなった、わが子安徳天皇の菩提を弔うため、終生をこの地で過ごしました。
平家物語の終盤、後白河法皇が建礼門院を訪ねた「灌頂巻(かんじょうのまき) 大原御幸(おおはらごこう)」では、寂光院の庭園や千年姫小松が描かれています。
お寺の一角には建礼門院が過ごした御庵室跡が残っています。
寂光院を代表する桜は、後白河法皇が「池水に 汀(みぎわ)の桜 散りしきて 波の花こそ 盛りなりけり」と和歌に詠まれた銘木「汀(みぎわ)の桜」があります。
散った桜が池一面に満開となっている、静かながらも風情ある様子を巧みに表現されています。
ちなみに、大原名物の「しば漬け」は、寂光院にご閑居されていた建礼門院に里人が夏野菜を漬け込み献上したところ、その美味しさにお喜びになられ「紫葉漬(しばづけ)」と命名されたと伝わっており、寂光院はしば漬け発祥の地とされています。

スポット情報

エリア名大原
スポット名寂光院
所在地京都市左京区大原草生町676
アクセスJR京都駅から京都バス17号系統大原行、四条河原町(京都河原町駅)、三条京阪(京阪三条駅)から京都バス16・17号系統大原行、地下鉄国際会館駅から京都バス19系統大原行乗車、大原バス停から徒歩約15分
拝観時間9:00~16:00
拝観料通常拝観志納金:大人・高校生:600円、中学生:350円、小学生:100円
TEL075-744-3341
URLhttps://www.jakkoin.jp
Twitterhttps://twitter.com/jakkouin
Google Maphttps://goo.gl/maps/Aq5mmVmnbnKXUxAG9

春の道~高野川河畔の桜並木をウォーキング~

写真提供:大原観光保勝会

花尻橋から、大原記念病院前を通り「元井出橋(もといでばし)」まで続く高野川沿いには桜並木が続いており、春の大原のフォトスポットとして多くの写真愛好家やカメラマンにも人気の場所です。
花尻橋バス停から戸寺バス停までの間、約600m川沿いの散策路は標高差もなくお花見ウォーキングにはぴったり。
タイミングが合えば、土井しば漬本舗本店裏手にある「志季彩の道」では桜と菜の花の競演風景も楽しめます。
花尻橋バス停には「土井しば漬本舗本店」があり、休憩がてらのお買物もできます。
館内にはお食事処「竈炊き立てごはん𡈽井」があり志ば漬を、炊き立てのご飯と味わうこともできます。
戸寺バス停には「味工房志野 大原街道店」があり、看板商品のポン酢やドレッシング、大原野菜、昔ながらの杵と臼で搗いたお餅、大原で採れたよもぎを用いた「よもぎ餅」、巻き寿司、炊き込みご飯を販売しています。
お土産だけでは無く、晴れた日にはのんびりと桜を見ながら屋外でのランチにもぴったり。

スポット情報

エリア名大原
スポット名高野川河畔の桜並木
所在地京都市左京区大原戸寺町
アクセスJR京都駅から京都バス17号系統大原行、四条河原町(京都河原町駅)、三条京阪(京阪三条駅)から京都バス16・17号系統大原行、地下鉄国際会館駅から京都バス19系統大原行乗車、花尻橋バス停または戸寺バス停下車
見学時間見学自由
URLhttps://www.jakkoin.jp
Twitterhttps://kyoto-ohara-kankouhosyoukai.net/harunomichi/
Google Maphttps://goo.gl/maps/BXB4FotnnFXkv2RV7

(掲載日:2024年03月11日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局)