「柿とスパイスカレー」柿農家さんが営む水曜日ランチだけの間借りカレー(京都西京 桂)

京都にスパイスカレーの新星が誕生しました。まだ営業を開始しはじめたばかりで毎週水曜日ランチタイムだけの間借りカレー店ですが、早くもカレー好き界隈で話題のお店です。間借りをされているお店は、西京区桂にあるイタリアンの人気店「ピッコロモンド・ヤマダ」さんです。
間借りカレーの店主さんは、西京区大枝(おおえ)地区で地元特産の冨有柿と白子筍農家を営む生産者、西田さんご夫妻です。本業の農業の傍ら、農家が抱えるB級品(廃棄ロス)と後継者(跡継ぎ)の問題解決の糸口になればとカレー店をオープン。営業は毎週水曜日のランチタイム(11:30~15:00)だけと、相当ハードルが高いですが、わざわざ行く価値アリです。
※数量限定での提供となり売切れ次第閉店となります。お早目の来店をおすすめします。
※都合により営業できない日もありますので、開店情報は事前にInstagramでチェックください。(お盆の水曜日は休業)
https://instagram.com/kaki_curry

メニューはこんな感じ

カレーは「チキンカレー(副菜+サラダ)」(1,500円)です。カレーには発酵食品の3種類副菜とこだわり野菜のサラダ付です。追加メニューで「島とうがらしと赤玉ねぎの酢漬け」(100円)、「パクチーの追加」(50円)があります。ドリンクはビール、ジンジャエール、林くんのお茶(自然農法のほうじ茶)がラインナップしています。

柿農家の本気のスパイスカレー

チキンカレーのトッピングは通常はパクチーと柿のドライフルーツが基本です。パクチーが苦手なためドライフルーツのみにしていただきました。では、いただきます。ひと口目は、西田さん特製のチャツネと玉ねぎの甘味が広がります、その後に、数種類のオリジナルブレンドのスパイスの風味が口の中に広がっていきます。ココナッツミルクは入っているのでスパーイシーさのなかに、まろやかさを感じられます。
途中からは3種類の副菜をトッピングしていただきます。もちろん副菜も西田さんの手作り。来訪時はザワークラフト、人参の柿酢ピクルス、ライタ(インドのヨーグルトサラダ)でした。それぞれの副菜は酸味が効いているので、カレーをより複雑な味へと昇華させてくれます。まずは1種類ずつカレーと混ぜていただき、最後は3種類混ぜて食べるのがオススメです。
今回は「島とうがらしと赤玉ねぎの酢漬け」を追加注文。酸味と刺激的な辛味で、副菜とはまた違った深みとアクセントでカレーの味変を楽しむことができます
サラダにもこだわりが。西田さんがこだわり抜いたその季節に最も美味しい野菜を提供。今回は京丹後の梅本農場の「ズッキーニ」と西京のオーガニックnicoの「ベビーリーフ」に自家製のドレッシングをかけたもの。梅本農場、オーガニックnicoとも、京都では有機農法・自然農法の農家さんで、野菜関係者では知らない人はいないほどの存在です。

間借り先は地元人気イタリア料理店

間借り先のお店は西京区桂にイタリア料理店「ピッコロモンド・ヤマダ」さん。胡麻油メーカーの山田製油直営のレストランで、採れたての地元野菜、お肉や魚、ゴマやゴマ油を用いた、イタリアンテイストのごま料理が味わえる地元の人気店です。
間借りの経緯は、ピッコロモンド・ヤマダのシェフは毎年柿を購入されていて、西田さんとは公私ともに親しい間柄。カレー屋さんをはじめるにあたり、間借り店舗の相談をしたところ、レストランオーナーの山田製油社長とお会いできる機会が生まれ、熱い想いを伝えると社長とも意気投合。トントン拍子に定休日の間借りの話が進んだそう。
レシピの開発・監修は以前からご縁があった、有名イタリアンレストラン「cenci(チェンチ)」のオーナーシェフ坂本氏に依頼。また、食材は基本的に京都府産、できるだけ地元の西京区の農産物を使いたいなどの要望のヒアリングまで乗っていただけました。さらに、付け合わせの副菜の開発・監修までしてくださるとのこと。
そして、基本のレシピと試作品が完成。それからは、シェフのレシピ通りのカレーの再現の作業を開始。苦闘すること数十回にして、納得のいくオリジナルのスパイスカレーに到達。めでたくシェフのお墨付きをいだだき、週1回の間借りという形態で実現し、今は閉店前に売り切れるほどの人気になっています。

なぜ、柿農家がスパイスカレー店?

西田さんご夫妻がスパイスカレー店を始めた理由は主に2つ。ひとつは京都市西京区の大枝(おおえ)地区の特産の冨有柿「大枝柿」が抱える課題であるB級品の廃棄ロス問題。もうひとつは全国の農家で問題となっている跡継ぎ(後継者)問題。
B級品問題については、ドレッシング、ジャムソース、コンフィチュールなど作りに取組み用途を広げ商品を人を開発し販売してきました。しかし、美味しい商品ができても用途に限りがあり消費が広がらない悩みが。そこで、柿を用いて料理の基本調味料となる「さ・し・す・せ・そ」にかわるモノができれば、多くの方に使っていただき、消費が拡大するのではと。柿の甘さを活かして、砂糖みたいにならないかと、粉末にしてみたり様々なチャレンジをした結果、たどりついたのが「チャツネ」。
チャツネとは、インドを中心に東南アジアで使われているペースト状の調味料。色んな野菜や果物などを煮詰めて作るソースやジャムのようなもので、料理に加えると旨味や甘味が増す効果があります。納得いくチャツネが完成し、ふと頭をよぎったのは“これをカレーに入れたらいいかも?”との考え。そして、様々な方とのご縁、アドバイス、支援により、柿を活かしたスパイスカレー店の開店となったのです。
跡継ぎ問題については、農業は自然が相手の仕事、しんどいだけで興味が向かなかったら、まずやりたいと思わない。だから、まずは自分たちが楽しむことが大切だと痛感。生産すること以外にこんな出会いがあるんだ、こんな運営方法もあるんだと言うことを実証すれば、一緒にやりたいと思う次世代の子たちが現れるのではないかなと、それなら自分もやってみたいと感じてくれる子たちがでてこないかなと。そんな思いでの挑戦。
真面目に生産者をやっていないという批判も受けることもあるかもしれないけれども、大切なものを変えずに守っていくには、変えていけることを変えるということをする必要があるとの思いが。だから「変えないために変える」。農業なんだけど、また違ったお金の生み出し方があるというのも体現していけたらなとの考え。
家業をしてもいいし、しなくてもいい。選択肢を持てるというのも大切だと思っていてしないことへの罪悪感すらなくていい。ただ「やりたい人がやれるよう」そうやって続けていくだけと西田さんは語ってくださいました。

スポット情報

エリア名西京
スポット名柿とスパイスカレー
所在地京都市西京区桂巽町4(ピッコロモンド・ヤマダの間借り営業)
アクセス阪急京都線桂駅から徒歩約7分 ※駐車場あり
営業日時水曜日(11:30~15:00)※売切れ次第終了
※都合により営業できない日もありますので、開店情報は事前にInstagramでチェックください
※水曜日以外はイタリアンレストランとして営業(カレーの提供はありません)
お問い合わせinfo@delice-kyoto.com
URLhttps://www.delice-kyoto.com/createvity/curry/
Instagramhttps://instagram.com/kaki_curry

(掲載日:2023年8月10日 情報提供:とっておきの京都カレー部