ブラタモリ「京都・山科~要衝・山科は何を生んだ?~」2023年5月20日(土)放送

街歩きの達人・タモリさんが“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る「ブラタモリ」。話題の出来事や街に残された様々な痕跡に出会いながら、街の新たな魅力や歴史・文化などを再発見する番組です。
今回「京都山科」が取り上げられ、放送されます。(前週の13日放送は「京都東寺」です)
旅のお題は「京都・山科~要衝・山科は何を生んだ?~」です。
タモリさんと野口葵衣アナウンサーが“ブラブラ”される場所をご紹介いたします。放送をご覧いただいた後は、ぜひとも現地を訪れて、山科の「要衝」をご自身の目で確かめてみませんか。

「京都・山科~要衝・山科は何を生んだ?~」
タモリさんが“ブラブラ”する場所はここ♪

今回の舞台は山科。京都と東日本をつなぐ要衝だからこそ生まれた数々のすごいものとは?タモリさんがブラブラ歩いて解き明かす。500年前の寺に“サウナ”があった!?
【1】オープニングは山科盆地全体を眺望できる展望台から
【2】“知るも知らぬも逢坂関”を知れば山科が分かる!意外と短い?逢坂峠を生んだ奇跡の地形とは
【3】下を向いて歩こう♪東海道で発見した謎の石から分かる江戸時代の先進的交通システム
【4】山科のど真ん中に巨大要塞出現!?正体は・・・なんと寺。戦国大名も見習った?時代先取りの防衛技術とは
【5】要衝ならでは!日本初の“山越え”鉄道誕生秘話

オープニング~山科疏水展望広場~

ブラタモリのホームページの放送リストの写真の場所は山科疏水の「展望広場」で、ここは山科盆地が一望できる場所です。
(放送リスト)https://www.nhk.jp/p/buratamori/ts/D8K46WY9MZ/blog/bl/p3BZoRyyd3/
山科疏水とは明治23年(1890年)に完成した琵琶湖疏水の山科区内の四ノ宮から日ノ岡まで全長約4kmの区間の総称です。疏水沿いには遊歩道や休憩所、トイレが整備されています。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉を眺めながらのウォーキングが楽しめます。
展望台の場所は、安祥寺道を北上し、山科疏水沿いを西に5分ほど歩いた場所です。高台に位置する展望台からは山科盆地が一望でき、眼下には日本一長い複々線区間の東海道本線の列車が行き交う風景が見られます。山科疏水沿いには、毘沙門堂、本圀寺、安祥寺(通常非公開:期間限定で特別拝観)、天智天皇 山科陵、日本初の鉄筋コンクリート橋などの名所旧跡が点在してします。
また季節限定で京都の蹴上と大津を結ぶ「びわ湖疏水船」が運航され、船上から疏水の風景を楽しむことができます。運航便によっては山科での乗降も可能です。

◆グーグルマップ(山科疏水 展望広場)
https://goo.gl/maps/3H8eHRYaBeYZ3wpU8
◆散策マップはこちらをクリック
◆びわ湖疏水船の予約はこちらをクリック
※山科疏水展望台は車では行くことのできません。また付近に駐車場はありません。

逢坂の関~逢坂山関址~

逢坂山は京都と東国・北国を結ぶ街道が合流しひとつになる交通の要衝で山城国と近江国の境にある峠です。かつては「逢坂の関」があり、不破関(岐阜県)、鈴鹿関(三重県)と並んで三関(さんかん)に数えられる重要な関所で、この関を越えると東国とされていました。
峠の頂上には「逢坂山関址」の碑と横に「逢坂常夜燈」が建っていますが、逢坂の関が実際にあった場所は石碑の東側とされていますが、現在も明らかにはなっていません。その理由として、逢坂峠は日岡峠とともに旧東海道の大津と京都間の二大難所で、幾度となく峠道の傾斜を緩くするための掘下げ工事が行われたからだそうです。
また、逢坂山は古来から多くの文人墨客が行き交い、関所や峠を題材にした作品がを葉集や古今集に多く残しています。よく知られてるのは百人一首にも選ばれている蝉丸が詠んだ和歌です。
・第10首/蝉丸(後撰和歌集)
「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関」
蝉丸は平安時代の歌人で、宇多天皇の第八皇子敦実親王に仕えた雑色とも、醍醐天皇の第四皇子とも言われている伝説の人物。盲目で琵琶に長じ、逢坂の関に庵を結び隠遁生活をしたと伝えられています。

◆グーグルマップ(逢坂山関址)https://goo.gl/maps/Cs8GkiRB5KuUTjUp8

江戸時代の先進的交通システム~旧東海道「車石」~

「車石」とは江戸時代、京都への主要な物流ルートであった旧東海道の京都(三条大橋)と大津宿の約3里(12km)にわたり、人や馬が歩く道とは別に牛車の車輪がぬかるみにはまらないように牛車専用道路として2列に敷かれた石のことです。敷石は牛車の通行によって擦り減り、U字型の凹みが生じ、溝の部分に車輪がはまるようになり、まるで石でできたレールのようになりました。
車石は京都から淀へ向かう鳥羽街道、伏見に向かう竹田街道にも敷設されていました。車石は京都周辺の街道にしか見られ無い全国的にも極めて珍しいものでした。如何に京都へ物資を運ぶ街道が重要視されていたかがこの車石から伺えます。
日ノ岡峠(ひのおかとうげ)は、上洛前の最後の難所でした。峠の2車線ある道路北側には役目を終えた車石で作られた「車石 旧舗石(きゅうほせき)」のモニュメントが残されています。また道路南側には「日岡峠人馬道碑」が建立され、当時の牛車専用道路(車道)と荷物を積んだ牛車の風景が再現されています。その先には旧東海道へ分岐する交差点があります。旧東海道沿いには車石が路傍に置かれたり、石垣になったりと人知れず残り、往時の面影を偲ばせてくれます。

◆グーグルマップ(車石 旧舗石)
https://goo.gl/maps/ETLyxMhJWqJTab78A
◆グーグルマップ(日岡峠人馬道碑)
https://goo.gl/maps/mTTgjwFKptPARQxS6
◆グーグルマップ(今なお残る車石)
https://goo.gl/maps/sYYWaoPmrE5SVQ5B9

大津市横木1丁目にある車石説明板

山科のど真ん中に巨大要塞出現
~山科本願寺土塁跡・史跡山科本願寺跡公園~

山科本願寺は、浄土真宗中興の祖である蓮如が、本願寺再興のため、文明10年(1478年)から5年の歳月をかけ完成させた本願寺の本拠。御本寺(ごほんじ)=諸堂が建ち並ぶエリア、内寺内(うちじない)=坊 官・ 僧侶の居住エリア 、外寺内(そとじない)=町衆の居住エリアの3つの郭を約7mの土居(土塁)と堀(濠)で区画し寺内町を形成しました。寺域は東西約800m、南北1kmにも及び、当時の様子は「寺中広大無辺、荘厳ただ仏国のごとし」と二水記(公家鷲尾隆康の日記)に記されています。
当初は御本寺(本丸)のみでしたが、その後に内寺内(二の丸)、外寺内(三の丸)が構成され、まるで城塞のような堅固な縄張りを持つ防衛設備が整った環壕要塞宗教都市が完成したのでした。
現在は、山科中央公園に土塁の一部と堀跡、史跡山科本願寺跡(南殿跡)公園には、現代のサウナに当たる熱気浴を行なう「石風呂」、井戸。かまど等の様々な建物や堀・土塁跡が残されています。

◆グーグルマップ(山科本願寺土塁跡)
https://goo.gl/maps/GHXXMCh4r8fxxdS98
◆グーグルマップ(史跡山科本願寺跡公園/石風呂)
https://goo.gl/maps/MNHVbMMb55Kn5SGG7

日本初の“山越え”鉄道~旧東海道線線路下トンネル跡~

東京駅から神戸駅を結ぶ日本の大動脈である東海道本線。京都駅から大津駅間は明治13年(1880年)に複線化で開業しましたが、当時の経路は京都から伏見稲荷大社付近まで南下し山科盆地南部の勧修寺あたりを通り、盆地を斜めに北上し大津へと至るかなり迂回したルートでした。当時は、京都と大津を最短で結ぶための東山連峰を貫くトンネルを掘る技術が確立されておらず、勾配を避けたルートが選定されました。旧山科駅も現在の場所とは異なり、地下鉄東西線の小野駅あたりにありました。
旧山科駅(小野駅付近)から大谷駅 (現在の京阪京津線大谷駅付近)間は、 上り方向(東京方面)に向かい急勾配 が続いており、当時の時刻表によると、下り10分に対し、 上り17分も要していました。 大正2年(1913年)、列車本数増加による輸送力強化のため「大塚信号所」が設置されました。信号所にはスイッチバック式の列車退避のための引上げ線が設けられました。
妙見寺の南側の神社の境内には、引上げ線の築堤下のレンガ作りのトンネルの貴重な遺構「線路下トンネル跡」が見ることができます。また、 妙見寺境内には引き上げ線跡が残っています。
大正10年(1921年)に掘削技術の進歩により東山トンネルが完成し、それに伴い山科駅も移転。現在、京都駅から山科駅は5分で結ばれています。山科盆地の旧東海道線の線路跡の多くは、昭和33年(1958年)に着工され昭和38年(1963年)に完成した、日本初の高速道路である名神高速道路の用地として活用され、現在も大動脈の一部を担っています。名神高速道路起工の地は旧山科駅のあった場所であり「名神高速起工の地」の碑が名神高速道路の側道に建てられています。

◆グーグルマップ(旧東海道線線路下トンネル跡)
https://goo.gl/maps/t9oMjbSv3rqEdniXA

スポット情報

エリア名山科
スポット名山科区一帯
番組名ブラタモリ#234「京都・山科」
放送日時2023年5月20日(土)19:30~20:15
アクセス山科駅まで:京都駅からJR東海道本線・湖西線で5分、地下鉄東西線三条京阪駅(京阪三条駅)から9分。
URLhttps://www.nhk.jp/p/buratamori/ts/D8K46WY9MZ/

(掲載日:2023年5月20日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局