京都「遅咲き桜」のお花見スポット~京北編~
歴代天皇も愛した皇室ゆかりの枝垂れ桜

京北(けいほく)は京都市右京区の北西部、桂川の源流域に位置し、総面積は約217k㎡で大阪市とほぼ同じくらいの大きさ。その広大なエリアの約93%が森林で、上桂川の清流と緑あふれた自然豊か地です。
周山(しゅうざん)、弓削(ゆげ)、山国(やまぐに)、黒田(くろだ)、宇津(うつ)、細野(ほその)の6つの地域で構成されています。
山国、黒田は天皇の直轄御料「禁裏御料」であり、長岡京や平安京の造営や京都御所の改修時には、大量の木材が「筏流し」により上桂川、保津川、桂川を経て運ばれた後、嵐山周辺で陸揚げされ、都へと木材を供給していました。
現在でも、木材の名産地としてその名を知られています。
清冽な上桂川の流れは、鮎やアマゴなどの川の幸を育み、美味しいお米や新鮮な野菜もたくさん収穫することができ、伏流水は日本酒の仕込み水としても使われています。
上桂川で獲れた鮎は「献上鮎」と称され、平安遷都から幕末まで、夏には生きたまま京都御所へ献上され朝廷の人々の舌を唸らせていました。
また、日本の食卓には欠かせない「納豆」発祥の地のひとつで、古くから各家庭で納豆が手づくりされてきました。郷土料理である「納豆餅」は京北のお土産として人気を博し、道の駅でも販売されています。
京都府で桜として唯一、国の天然記念物に指定されている、樹齢約650年の銘桜「九重桜」で名高い、皇室ゆかりの寺院「常照皇寺」をはじめ、知る人ぞ知る隠れた遅咲き桜スポット。その中で選りすぐりの銘桜をご紹介。

常照皇寺~皇室ゆかりの寺院で枝垂れ桜を愛でる~

写真提供:京都フリー写真素材

常照皇寺(じょうしょうこうじ)は山号を大雄名山(だいおうめいざん)と言い、臨済宗天龍寺派の禅寺。北朝初代の光厳天皇が開山した歴代天皇の帰依を得た皇室ゆかりの寺院です。
戦国時代の天正7年(1579年)に明智光秀による合戦により焼失し、一時は衰退しましたが、江戸時代に後水尾天皇により堂宇が復興されて現在の姿に至っています。
京北を代表する桜の名所で、天然記念物にも指定されている光厳天皇お手植えの「九重桜」(ここのえさくら)、岩倉具視が京都御所・紫宸殿前の桜から枝分けされた「左近の桜」(さこんのさくら)、後水尾天皇があまりの美しさに何回も車を返して別れを惜しまれたと伝えられる、一重と八重が一枝に咲く「御車返しの桜」(みくるまかえしのさくら)の三銘桜が拝観者の目を楽しませてくれます。

スポット情報

エリア名京北
スポット名常照皇寺
所在地京都市右京区京北井戸町丸山14-6
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス山国・黒田線に乗車、山国御陵前バス停から徒歩約5分
拝観時間9:00~16:00
拝観料ご志納(500円程度)
TEL075-853-0003
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1663/
Google Maphttps://goo.gl/maps/Q59rgDsijjyJ38AC7

宝泉寺~先代住職の夢♪200本の枝垂れ桜の園~

宝泉寺(ほうせんじ)は創建が南北朝時代の延文元年(1356年)で、仁和寺を総本山とする真言宗御室派の寺院。
仁和寺から移植した「御室桜」をはじめ、観音桜、平安しだれ桜、金剛桜(うわみず桜)など、多くの遅咲きの桜が境内をの濃いピンク色に染め上げます。
桜の開花にあわせて「さくらまつり」が開催されており、地元婦人会の皆さんによる。手作りのぜんざい、おでん、草餅、桜寿司、山椒みそ、野菜などの販売もあります。
2018年には、宝泉寺の裏山に「200本の桜公園」を造るプロジェクトが始動。先代住職の「この場所に新しい桜の名所を造って、過疎化が進む京北をもっと元気にしたい」という想いを実現すべく、庭師さんと共にご住職が自らも植樹をし、2020年に200本全ての植樹が完了し桜の園が完成。
今では京北を代表する枝垂れ桜の名所のひとつとなっています。

スポット情報

エリア名京北
スポット名宝泉寺
所在地京都市右京区京北下熊田町東旦15
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス宇津線に乗車、南町バス停から徒歩約5分
拝観時間9:00~17:00
拝観料500円 ※さくらまつり期間中(2024年4月6日~21日)
TEL075-852-0407
URLhttp://www.kyoto-hosenji.jp/sakura.html
Google Maphttps://goo.gl/maps/otnRXWvMLFxwnku78

黒田の百年桜~京都市内で最も遅い花見の名所~

京都市内で最後に花見を楽しめるスポットとして知られる「黒田百年桜」。
かつて旧黒田村役場前の広場に桜の大木があったのですが、明治6年(1873年)の台風により倒木。
これを惜しんだ地元民がその跡に八重桜を植え、樹齢300年を超えるとも言われる古木です。
通常の八重桜と思われていたのですが、ヤマザクラの変異による珍種で、10~12枚の八重の中に一重がまじり、濃い紅色の花が密集して手まりのように咲く様は美しく可憐。
突然変異のため種子ができないため、円山公園の枝垂桜などを手掛け「京の桜守」として知られる造園業の佐野藤右衛門さん親子が、昭和52年(1977年)に苗づくりに成功し、15代目佐野藤右衛門氏が「黒田百年」と名付けました。
超遅咲きで、例年は4月中旬〜下旬頃に見頃を迎えます。開花の遅い年はゴールデンウイークが見頃になることも。
開花中は、日没から午後9時までライトアップも実施、幽玄かつ幻想的な夜桜も楽めます。
また、開花に合わせて“黒田桜まつり”が開催されます。黒田名物のよもぎ餅、栃餅、サバ寿司、ちらし寿司、お弁当、地元特産品などの販売や様々な料理の屋台も出店します。地元主婦グループによる楽器の演奏などのイベントも実施されます。

スポット情報

エリア名京北
スポット名黒田の百年桜(春日神社)
所在地京都市右京区京北下熊田町東旦15
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス山国・黒田線に乗車、宮バス停から徒歩すぐ
見学料無料
TEL075-856-0968(おーらい黒田屋)
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1226/
Google Maphttps://goo.gl/maps/gHFpTHVFArE1e3KGA

福徳寺~儚く美しく咲く「かすみ桜」~

奈良時代、和銅4年(711年)に聖武天皇の勅願により行基が開創した古刹。
創建当初は弓削道鏡が伽藍を整備し「弓削寺」と呼ばれていました。戦国時代、天正7年(1579年)に明智光秀が周山城の築城の際、用材を調達するため破却さて廃絶されましたが、江戸時代に現在の堂宇が再建されました。
京都市の天然記念物に指定されている樹齢約400年の枝垂れ桜は花が小さく、淡いピンク色の素朴な可憐さから「かすみ桜」とも呼ばれています。
収蔵庫には国の重要文化財指定の藤原時代の木造薬師如来坐像・持国天立像・増長天立像が安置されており、事前予約をすれば拝観可能。

スポット情報

エリア名京北
スポット名福徳寺~儚く美しく咲く「かすみ桜」~
所在地京都市右京区京北下熊田町東旦15
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス田貫・弓削線に乗車、下中バス停から徒歩約5分
拝観料境内自由(収蔵庫は拝観料300円/要事前連絡)
TEL075-854-0971
URLhttps://buddhist-temple-3228.business.site/?utm_source=gmb&utm_medium=referral
Google Maphttps://goo.gl/maps/7bmm1fr5naW1uRks8

魚ヶ渕吊り橋の枝垂れ桜~上桂川と桜との絶景コントラスト~

桂川上流、鮎釣りの人気スポットとして知られる上桂川に架かる吊り橋「魚ヶ渕の吊り橋」は、京北十景のひとつに数えられており、橋のたもとに樹高約13mの堂々たる枝垂桜が佇んでいます。
吊り橋のたもとにに咲く枝垂れ桜は、昭和32年(1957年)に地元の壮年会創設記念に植樹されたもの。
枝が大きく三つに分かれて横に広がり咲く枝垂れ桜と上桂川の清冽な流れと木製の吊り橋とのコントラストは絶景のひと言。ま
るで昔ばなしに出てきそうな日本の原風景です。

スポット情報

エリア名京北
スポット名魚ヶ渕吊り橋の枝垂れ桜
所在地京都市右京区京北周山町山キハ22
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行き乗車、八千代橋バス停から徒歩約35分(3km)
見学料無料
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1216/
Google Maphttps://goo.gl/maps/QBwCissQWbeEQZPZA

「祇園の夜桜」の子桜~京の桜守りお手植えのしだれ桜~

京都屈指の花見の名所である円山公園にある「祇園しだれ桜」、別名「祇園の夜桜」の子桜。
“京の桜守”として有名な「第十五代目 佐野藤右衛門」により植樹された「祇園の夜桜」の子桜。「一重白彼岸枝垂桜」(ひとえしろひがんしだれざくら)という品種で“京の桜守”と呼ばれる十五代佐野藤右衛門により移植されました。
円山公園の親桜より少し濃い紅色が特長で、京北で暮らす人たちを見守るように堂々と咲き誇る風格が魅力です。
開花時には、ライトアップされ夜桜を楽しむことができます。

スポット情報

エリア名京北
スポット名「祇園の夜桜」の子桜
所在地京都市右京区京北上中町中ノ通
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス田貫・弓削線に乗車、上中バス停から徒歩すぐ
見学料無料
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1302/
Google Maphttps://goo.gl/maps/nwtHkXRvDktjTWdY8

弓削の出逢い桜~人と人との縁を結ぶ桜~

上弓削町にある八幡宮社への参道に佇む京都市内最大級の枝垂れ桜。
「桜の下に集う人と人の縁を結ぶ桜」と地元の方に親しまれ、また最近では縁結びのスポットとして若い女性にも人気。
“出逢い桜”の呼び名は、桜の木の下で偶然に出逢った男女が結ばれ、縁を結んだ桜に感謝し、手を合わせたとの言い伝えが由来です。
出会い桜の下では、今でも地域の人々や花見に訪れる人々が出逢い、会話に花を咲かせ、何気ない日常の中で温かなつながりが紡ぎ続けられています。

スポット情報

エリア名京北
スポット名弓削の出逢い桜
所在地京都市右京区京北上弓削町弾正41
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス田貫・弓削線に乗車、上中バス停から徒歩すぐ
見学料無料
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1299/
Google Maphttps://goo.gl/maps/WAg9NBpTaY1FifXn8

栃本の百本桜~上桂川を彩る桜並木~

京北の中心部、周山地区から国道477号線を宇津峡公園方面に向かう途中、上桂川の栃本橋付近の堤防に沿ってある桜並木は「栃本の百本桜」と呼ばれており、地元の人だけが知っているまさに隠れた桜の名所。
桜並木のある上桂川の清流沿い堤防の上は歩道が整備されており、見晴らしがよく、どこまでも続くかのような桜並木はまさに壮観。いつまでも散策していたい気持ちになるほど素晴らしい桜のトンネルです。
桜とともにカエデの木が植えられており、秋には色付いた楓の木がまるで真紅の帯のように連なり、なかなかお目に掛かれない紅葉の並木道が楽しめます。

スポット情報

エリア名京北
スポット名栃本の百本桜
所在地京都市右京区宇津町栃本
アクセス京都駅、二条駅、阪急大宮駅からJR西日本バス周山行で終点の周山下車、 周山から京北ふるさとバス宇津線に乗車、栃本下車すぐ
見学料無料
URLhttps://kyoto-keihoku.jp/howto/see/1307/
Google Maphttps://goo.gl/maps/iy8b4PLuafetRtAY6

(掲載日:2024年03月11日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局)