【京北・宝泉寺】約束の200本桜公園プロジェクト①植樹編

京北・宝泉寺「200本の桜公園」を造るプロジェクトが始動

京都市内にある、京北(けいほく)というエリアをご存じでしょうか?
もしかしたら、京都市民でも「けいほく?知らない・・」という人がいるかもしれません。
その漢字が示す通り、「京都の北」に位置する京北は、京都市内でありながら、昔懐かしい里山の田舎風景が広がるエリアです。京都市内から、車だと約50分で行くことができる京北は、大自然を育み、旅人を癒してきました。京都ツウが最後に訪れる観光地と云われ、一度訪れるとその空気に魅了され、大都市から移住してくるアートな住人も多いんだとか。

今回は、その京北に佇む、小さな寺院が取り組んでいるプロジェクトをご紹介します。その寺院の名前は「金花山 宝泉寺」。京都府下や大阪府、兵庫県にも「宝泉寺」という同名の寺院がありますが、京都市右京区京北の宝泉寺です。

「金花山 宝泉寺」は、南北朝時代の延文元年(1356年)、心蓮上人が母の病気平癒を祈願し、十一面観世音をご本尊として、高雄山神護寺から京北に移転し、開創されたと伝えられています。その後、真言宗御室派の寺院として、古くから人々の安寧を祈願し、護摩を修してきました。

2018年秋、その宝泉寺の裏山に「200本の桜公園」を造るプロジェクトが始動しました。もともと宝泉寺には、樹齢50年の八重紅枝垂れや、世界遺産の仁和寺から移植した御室桜など、たくさんの桜が毎年キレイな花を咲かせてくれます。大きな八重紅枝垂れには「平安しだれ桜」や「観音桜」という愛称が付いています。京都市内中心部より少し遅咲きの桜で、4月中旬頃に満開を迎えます。大きな枝を広げて咲くその姿は、毎年欠かさずプロのカメラマンが足を運ぶほどの美しさです。

先代住職と妻・隆子さんとの「約束の桜」

プロジェクトの主人公は、12年前に亡くなった先代住職の妻、尾池隆子さん(88歳)。檀家の皆さんに愛される、おもてなしが大好きなおばあちゃんです。先代住職がご存命の頃、「この場所に新しい桜の名所を造って、過疎化が進む京北をもっと元気にしたい」というご夫婦の想いが、この「京北200本桜プロジェクト」の始まりでした。隆子さんは、「皆さんの助けのおかげで、公園整備に向けて動き出しました。宝泉寺の桜公園を、たくさんの人に見に来てもらいたい」と語ります。

ご高齢の隆子さんを支えるのは、37代目住職である息子の文章さん(61歳)。文章さんは、宝泉寺の住職を務める傍ら、旅行会社も経営されています。お忙しい日常を過ごしながら、ご両親の約束を叶えるため、この200本桜プロジェクトに取り組んで来られました。

山を切り開き桜の植樹がスタート

亡き先代住職との約束を果たすべく、2018年11月に第1弾の桜の植樹が行われました。第1弾で植樹した桜の木は、なんと約150本!全ての苗木は尾池さんが購入。想いの強さを感じます。
公園の中央にある東屋は「花楽庵(からくあん)」と名付けられました。「雨の日でも、訪れてくれた皆さんが、花をめいっぱい楽しめるように」という想いを込めて名付けられたそうです。

桜の植樹を任されたのは、先代住職の時代から宝泉寺の庭師を務める、加地正樹さん(67歳)。今や宝泉寺の代名詞となった「平安しだれ桜」や「観音桜」をお寺に寄贈し、仁和寺から「御室桜」を移植された方で、50年もの間、桜のお世話をして来られたベテラン職人さんです。

切り開かれた宝泉寺の裏山は、適度な水分を含んだ腐葉土で日当たりがよく、桜の植樹にうってつけの立地。第1弾で植樹した約150本の桜の苗木は、加地さんを含めた庭師3名で、10日がかりで植樹が行われたそうです。桜の成長を想定し、何メートルの間隔を空けて植えるか?どのようなルートで遊歩道を整備するか?釣鐘堂はどこに建てるか?200本桜公園の設計図は、職人加地さんの頭の中で鮮明に描かれています。 

第1弾で植樹した約150本は、2mほど育った大きめの苗木が植樹されました。樹木医によると、植樹後は根がしっかりと張っているため、2020年の春には桜が咲くだろうとのこと。1年間で約30cm以上も大きく成長するそうです。花の量が増えて、立派な桜に育つのは3〜4年後。満開のころに、毎年見に来るのも楽しみですね!

そして、年が明けた2020年3月に第2弾の植樹が行われました。約50本の桜の苗木を追加。加地さんをはじめ、庭師さん数名で3日がかりで完了する予定だそうです。1mほど成長した若木を、1本づつ植樹していくのは、本当に大変な作業です。第1弾で植樹した150本とあわせると、全部で200本。この日、「京北200本桜公園」が誕生しました!

ご高齢の隆子さんの代わりに、ご住職の文章さんがちょっぴりお手伝い。今回で200本の桜の苗木植樹が完了!あとは、桜が満開に咲き誇るのを待つばかり・・かと思いきや、文章さんにはもうひとつ、サプライズな計画がありました。

それは、2021年4月に200本桜公園で、結婚式を執り行うというもの。なんと、京北で挙式をされるカップルに、結婚式をプレゼントされるそうです!衣装やヘアメイク、ウエディングケーキ、祝い酒、引き出物のお菓子などは、全て京北にある店舗で手配!都会からやって来るカップルを、京北の地元をあげて皆でお祝いしたいという気持ちから、この計画を思いついたそうです。
現在、2021年4月に結婚式を挙げるカップルを募集中!詳しくは、宝泉寺までお問合せください。
(金花山宝泉寺 TEL:075-852-0407/Mail:oike@kyoto-hosenji.jp
来年、桜公園で執り行われる結婚式の模様は、後日ご紹介します!

「とっておきの京都プロジェクト」では、今後も、宝泉寺の尾池隆子さん、ご住職の文章さんをはじめ、約束の200本桜公園に関わる皆さんを取材させていただき、桜公園が完成するまでの物語をお届けします。

(掲載日:2020年5月11日 取材:とっておきの京都プロジェクト事務局

スポット情報

エリア名京北
スポット名宝泉寺
所在地京都市右京区京北下熊田町東旦15
TEL075-852-0407
Mailoike@kyoto-hosenji.jp

Pikmin Bloom「とっておきの京都」ポストカードウォーク開催♪

大人気位置情報ゲーム「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」との連動イベント「とっておきの京都」ポストカードウォークを開催します。開催期間は、2024年11月6日(水)~2025年11月5日(水)まで。とっておき …

Pikmin Bloom「とっておきの京都」ポストカードウォーク開催♪ もっと読む »

常照皇寺の紅葉♪皇室ゆかりの寺院で紅葉を愛でる(京都京北)

常照皇寺(じょうしょうこうじ)は臨済宗天龍寺派の禅寺。 北朝初代の光厳天皇が開山した歴代天皇の帰依を得た皇室ゆかりの寺院です。 国の天然記念物の光厳天皇お手植えの「九重桜」、岩倉具視が京都御所・紫宸殿前の桜から枝分けされ …

常照皇寺の紅葉♪皇室ゆかりの寺院で紅葉を愛でる(京都京北) もっと読む »

上桂川・栃本の紅葉並木♪地元民しか知らない穴場スポット(京都京北)

京北の知る人ぞ知る紅葉スポットのひとつ、上桂川の栃本地区のカエデ並木。 その場所は、京北の中心部、周山地区から上桂川をを宇津峡公園がある下流へと向かう、国道477号線の途中、上桂川に架かる栃本橋から堤防に沿って植えられて …

上桂川・栃本の紅葉並木♪地元民しか知らない穴場スポット(京都京北) もっと読む »

慈眼寺の紅葉♪明智光秀ゆかりの寺院(京都京北)

慈眼寺(じげんじ)は山号を慧日山(えにちさん)といい、曹洞宗の禅寺。明智光秀ゆかりの寺として知られています。 丹波の平定を織田信長に命じられた明智光秀によって築かれた総石垣の城「周山城」の麓にあり、慈眼寺では、御城印の授 …

慈眼寺の紅葉♪明智光秀ゆかりの寺院(京都京北) もっと読む »

魚ヶ渕吊り橋の紅葉♪上桂川と紅葉の絶景コントラスト(京都京北)

桂川上流、鮎釣りの人気スポットとして知られる上桂川に架かる吊り橋「魚ヶ渕の吊り橋」は、京北十景のひとつに数えられており、橋のたもとに樹高約13mの堂々たる枝垂桜が佇んでいます。 春の枝垂れ桜は近年、有名ですが秋の紅葉に彩 …

魚ヶ渕吊り橋の紅葉♪上桂川と紅葉の絶景コントラスト(京都京北) もっと読む »

岩戸落葉神社イチョウの黄葉♪黄金色の絨毯「敷イチョウ」の絶景(小野郷)

岩戸落葉神社(いわとおちばじんじゃ)は、京北の手前にある小野郷にある神社で岩戸社と落葉社の2つの社の総称です。 岩戸社には天御衣織女稚姫神(あめのみそおりめわかひめのかみ)、弥都波能売神(やづはのめのかみ)、瀬織津比咩神 …

岩戸落葉神社イチョウの黄葉♪黄金色の絨毯「敷イチョウ」の絶景(小野郷) もっと読む »