大原 伝統の藍染め工房を見学
日本の藍の美しさに魅せられて染師として工房をオープン
⻄陣で藍染の製造と卸でお父様を手伝っていた下村さん。
そもそも紺色が好きではなかった下村さんは藍の色に魅了され、平成5年、5月に大原にてお父様と一緒に工房をオープン。
日本の藍そのものの減少と共に作り手が減少していく中、藍の魅力に取りつかれた下村さんは藍を残すために染師としてしぼりの浴衣や洋服、のれん等を藍染で制作しています。
今では珍しくなった本藍染めはとても手間がかかるため採算が合わないことが多く、ほとんどの藍染工房が手がけない中、下村さんは藍の原料となる徳島産の蒅(すくも)を使った「天然灰汁醗酵建」という古くから伝わる染め方にこだわり、百貨店や物産展、オーダー品の注文等、 高い評価を得ています。
伝統の技法による本藍染めの美しさを体験
藍染は飛鳥時代から伝わる伝統ある染色です。
徳島の蒅(すくも)を使い、天然の木灰を熱湯で濾した灰汁を使い発酵させて染める天然灰汁醗酵建は、明治以降手軽に出来る化成ソーダやハイドロなどの化学藍の登場で少なくなりました。しかし、天然灰汁醗酵建は明るく染まり光を反射する力が強くなる他、洋服や綿などの洗えるシルクは白いものと洗濯しても色移りしにくく、藍染本来の良さが最大限に発揮される、と下村さんは言います。
本藍の美しさを残したい、伝えたいという志からオープンした下村さんの工房、「工房 藍の館」では貴重な天然灰汁醗酵建による本藍染を体験することができます。Tシャツやストール、ハンカチなどを約2時間の本藍染の体験で染め、当日持ち帰ることができます。
喧噪から離れてゆっくりと味わう伝統
下村さんが工房を構える京都市左京区・大原は三千院や勝林院、出世稲荷神社といった貴重な文化財にもなっている寺社仏閣が多く、京都市内の喧騒から離れ、静かにゆっくりと時間が流れる様を楽しむことができます。
工房のすぐそばを流れる高野川沿いを散策したり、茶屋や食事処で団子やお茶、湯豆腐等を楽しむのも素晴らしい体験となるでしょう。また、水が綺麗なのも大原の魅力の一つで、6月上旬の高野川では蛍を見ることができます。
徳島の蒅(すくも)、徳島で硬い木のみで作られた木灰、京都・大原の綺麗な水と下村さんがこだわり続ける伝統の本藍染の技。藍は生き物だから、一日一回かきまぜて藍に呼吸をさせなくてはならない、と語りながら藍の健康のバロメーター、「藍の華」と呼ばれる泡の固まりを見つめ、「体験を通して本藍染、伝統工芸の素晴らしさを五感で味わってほしいですね。」と下村さんは笑顔を覗かせました。
(掲載日:2019年1月18日 取材:ライター 渡邉良平)
施設情報
エリア名 | 大原 |
---|---|
施設名 | 工房 藍の館 |
所在地 | 京都市左京区大原大長瀬町276 |
営業時間 | 10:00~15:00 |
定休日 | 火・土・年末年始 ※出張が多いため事前予約が必要 |
TEL | 075-744-2404 |
URL | https://aizomeya.com/ |
来迎院の紅葉♪天台声明発祥の地は紅葉の隠れ寺の趣き(京都大原)
宝泉院の紅葉♪書院から眺める額縁紅葉は一服の絵画(京都大原)
勝林院の紅葉♪仏教音楽「天台声明」の聖地(京都大原)
寂光院の紅葉♪建礼門院ゆかりの寺院「しば漬け」発祥の地(京都大原)
実光院の紅葉♪紅葉と秋に咲く桜「不断桜」を同時に観賞(京都大原)
RELATED おすすめの関連記事
-
京都府と京都市では「もうひとつの京都」(※1)及び「とっておきの京都」プロジェクト(※2)として、京...
詳しく読む -
宝泉院(ほうせんいん)は、天台宗の仏教が栄えた大原の中心的道場である勝林院(大原寺)の僧坊として...
詳しく読む -
寂光院は飛鳥時代の推古2年(594年)に聖徳太子が父・用明天皇の菩提を弔うために建立されたと伝え...
詳しく読む -
大人気位置情報ゲーム「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」との連動イベント「とっておきの京...
詳しく読む
EVENTS おすすめのイベント
-
観光・ラン・スイーツ、山科の3人のエキスパートの叡智が融合して生まれた新企画「山科観光スイーツラン」...
詳しく読む -
伏見の新酒イベントがさらに進化! 日本酒のまち「伏見」にて、毎年3月恒例の新酒のきき酒イベント「伏...
詳しく読む -
伏見銘酒協同組合(山本本家、豊澤本店、平和酒造合資会社)では、2024年12月15日(日)と2025...
詳しく読む -
京都伏見の納屋町商店街では、2024年11月30日(土)と12月1日(日)の2日間、子育て世代やニュ...
詳しく読む