山科 毘沙門堂~天井雲龍図・狩野永淑主信作「八方睨みの龍」~

毘沙門堂(びしゃもんどう)は、大宝三年(703年)文武天皇の勅願によって創建された古刹で、天台宗五箇室門跡(※)のひとつに数えられている皇室ゆかりの寺院。
寺名の「毘沙門堂」は、七福神のひとつ毘沙門天を祀ることに由来しています。当初は出雲路(現在の上京区)にあり、護法山出雲寺と称しましたが、度重なる戦乱により焼失移転を繰り返し、寛文5年(1665年)に天海僧正(てんかいしょうじょう)により山科に再建。後西天皇の皇子公弁法親王が入寺し門跡寺院となりました。
ご本尊の毘沙門天は伝教大師のご自作、延暦寺根本中堂のご本尊薬師如来の余材で刻まれたと伝えられています。
見逃せないのが、霊殿の「八方睨みの龍」と称される天井の雲龍図。どの角度から見ても龍と目が合い、まるで睨まれているような不思議な感覚です。
最寄りの山科駅は、京都駅からわずか5分の場所にあり、またJR東海「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンで取り上げられたことから、現在は春のお花見スポット、秋の紅葉スポットとしても大人気の寺院です。

妙法院門跡・三千院門跡・青蓮院門跡・曼殊院門跡・毘沙門堂門跡の五ケ寺を指し、門跡寺院は、門主(住職)が皇室あるいは摂関家によって受け継がれてきたお寺のことです。

「八方睨みの龍」

本尊の毘沙門天が祀られている本殿に続く建物である、霊殿の天井に描かれている巨大な守護龍の雲龍図は、江戸時代の絵師・狩野永叔主信の作とされています。
龍の鋭い眼つきや顔つきは、見る角度によって変化し「八方睨みの龍」とも呼ばれています。龍の眼が天井画の中心にあり、どの角度から見ても龍と目が合い、まるで龍に睨みつけられているようです
これは人間の目の錯覚を利用した画法で、現代で言うトリックアート、いわゆる「だまし絵」です。江戸時代に、このようなハイレベルな技法が使われていたのは驚きです。

京都有数の紅葉スポット

毘沙門堂の紅葉は、2011年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン盛秋編で紹介され、京都の紅葉スポットとして全国的に知られるようになりました。
江戸時代初期に作庭された回遊式庭園「晩翠園」や勅使門前の石段の参道を覆う紅葉トンネルは壮観。紅葉終盤には勅使門前の石段の参道は一面「敷き紅葉」になりこちらも見逃せない魅力です。

春の枝垂れ桜も見逃せない

スポット情報

エリア名山科
スポット名毘沙門堂門跡
所在地京都市山科区安朱稲荷山町18
アクセスJR山科駅、地下鉄東西線山科駅、京阪大津線山科駅下車、徒歩約20分
拝観時間9:00~17:00(16:30受付終了)
※12月1日~2月末日は9:00~16:30(16:00受付終了)
拝観料大人:500円、高校生:400円、小学生300円
TEL075-581-0328
URLhttps://www.bishamon.or.jp
Instagramhttps://www.instagram.com/bishamondo.monzeki/

(掲載日:2023年12月28日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局