山科区は、山が近く、坂の多い街です。
多くの坂の街がそうであるように、ここ山科でも、時折強い風が吹き抜けます。
冬の風は冷たく厳しいけれど、柔らかな春風は街ゆく人の頰をそっと撫で、静かに袖を揺らし、そして優しく、旅へと誘いかけてきます。
京都市の東、滋賀や伏見にも隣接する山科区。
そうした地域ゆえ、古くから交通の要所として栄え、東海道を始め数多くの街道が山科を通って東へ、南へと伸びていました。
また近代に入っても琵琶湖疏水をはじめ名神高速道路東インターチェンジや外環状線、JR東海道線や京都市営地下鉄など水路、道路、鉄道などあらゆる交通がここ山科を縦横無尽に走っているのです。
また山科は小野小町が晩年を過ごしたとされる隨心院や大石内蔵助隠棲の地に建立された大石神社、天智天皇の御陵に坂上田村麿の墓など歴史に名を連ねる人たちとのゆかりも深い土地。
ほかにも池庭と桜が有名な勧修寺や瑞光院、本圀寺、毘沙門堂、山科本願寺などじつは名所・史跡も数多い街でもあるのです。
水上を滑る船と、京の東と南を結ぶ街道。
山からの風とともにいにしえの人々が駆け抜けた山科の街を、山科の路を、あなたも、旅してみませんか。