京都の紅葉“穴場”スポット
高雄編・早めに紅葉が楽しめる「三尾」エリア

京都の奥座敷・三尾(高雄・槇尾・栂尾)で紅葉狩り

神護寺がある高雄(高尾・たかお)、西明寺がある槇ノ尾(まきのお)、高山寺がある栂ノ尾(とがのお)。京都市の北西部、愛宕山に連なるこのエリアは「三尾(さんび)」とも呼ばれ、室町時代の屏風に描かれているほど、古くから京都を代表する紅葉の名所として都人に知られていました。
京北を経由して、日本海の若狭まで続く周山街道(R162)沿い、清滝川河畔や寺院の参道は、真紅に染め上げられた楓の木に覆われ、まさに「紅葉のトンネル」。
京都市内よりも標高が高く、寒暖の差があるため、色づきも早く11月中旬には見頃を迎えます。
三尾一帯のどこを切り取ってもまるで“一幅の絵画”のようです。清滝川沿いの散策路を歩るけばマイナスイオンもチャージできます。
紅葉のエリアが広く、市内中心の有名寺院ほどの混雑が無いため、ゆったりと絶景の三尾紅葉めぐりが楽しめます。

高雄山 神護寺~弘法大師・空海ゆかりの寺院~

神護寺は高雄山の中腹に建つ高野山真言宗の別格本山。和気清麻呂により高雄山寺として建立されました。その後、国家安泰を祈願した神願寺と合併し、寺名を神護国祚真言寺(略して神護寺)と改めました。和気清麻呂没後は弘法大師・空海に委ね、真言宗立教開宗の礎を築きました。国宝の薬師如来像をはじめ、平安時代から鎌倉時代かけての多くの寺宝や日本三名鐘「三絶の鐘」を有することでも知られています。
神護寺の参拝は清滝川に架かる高雄橋からスタート。約400段の石段を上らないといけませんが、参道は楓の木に覆われており、紅葉の美しさに気が付けばあっという間に楼門に到着。参道途中には茶店もあるので、紅葉の絶景を眺めながら一服もできます。石段を上がりきった境内には、金堂・御影堂をはじめとした数々の堂宇と紅葉のコントラスト、最奥部にある地蔵院前からは“錦雲渓”とも称される絶景の渓谷美が楽しめます。また、神護寺は疫病退散や魔除けなどの願いを込めて素焼きの皿を投げる「かわらけ投げ」発祥の地としても知られており“錦雲峡”に向かいフリスビーのように投げ、風に乗って遠くまで飛ばすことができれば願いが叶うとされています。

スポット情報

エリア名高雄
スポット名神護寺
所在地京都市右京区梅ケ畑高雄町5
アクセスJR京都駅・阪急電車大宮駅二条駅からJRバス「栂ノ尾・周山」行、または地下鉄烏丸線四条駅・東西線太秦天神川駅から市バス8系統「高雄・栂ノ尾」行に乗車、高雄バス停で降車、徒歩約20分
拝観料大人(中学生以上):600円、小人:300円
拝観時間9:00~16:00
TEL075-861-1769
URLhttp://www.jingoji.or.jp


槙尾山 西明寺~倍になって帰ってくる御守り「倍返りのお守り」~

西明寺(さいみょうじ)は清滝川に掛かる指月橋(しげつきょう)を渡った先にある、真言宗大覚寺派の寺院。平安時代の天長年間に空海の高弟、智泉が神護寺の別院として創建されたと伝えられる。鎌倉時代に再興され、後宇多法皇により平等心王院の院号を賜り神護寺から独立しましたが、室町末期に兵火にあって荒廃し、慶長七年(1602年)に明忍によって再興。現在の本堂は元禄年間に江戸幕府三代将軍・徳川家光の側室で五代将軍・綱吉の生母である桂昌院の寄進により再興されました。堂内には、運慶作と伝わる清凉寺式の立像の本尊釈迦如来像(重要文化財)や千手観世音菩薩像(重要文化財)、愛染明王像など多数の仏像が安置されています。
西明寺の紅葉の見どころは、紅葉に覆われた指月橋から始まります。その先には紅葉の風景を額縁に見立てた表門があります。境内のいたるところに楓が植わっており鐘楼と本堂の周辺は特に人気のフォトジェニックなスポットです。
本堂の右手にある聖天堂には商売繁盛、家庭円満を司る歓喜天が祀られており、白地の幕には左に巾着、右にお供え物の大根という歓喜天の紋章が描かれています。巾着型の線香台の奥には小さな台があり「出るお金に感謝しましょう。倍になって帰ってきます」と記され、並べられている御守りは「倍返りのお守り」です。この御守りは、先代住職が商売繁盛を司る歓喜天にちなみ、お金が入ってくることだけを願うのではなく、出ていくお金に感謝することで“倍になって帰ってくる”という意味を込めて始められたそうです。常にお財布に入れておけば、お金を使う度に出ていくお金への感謝を忘れずにいることができます。実際に倍返りのお守りを持ち歩くようになってから「宝くじが当たった」という人もいて、⻄明寺を拝観したら授与いただきたい開運の御守りとして密かな人気です。

スポット情報

エリア名高雄
スポット名西明寺
所在地京都市右京区梅ヶ畑槇尾町1
アクセスJR京都駅・阪急電車大宮駅二条駅からJRバス「栂ノ尾・周山」行、または地下鉄烏丸線四条駅・東西線太秦天神川駅から市バス8系統「高雄・栂ノ尾」行に乗車、槙ノ尾バス停で降車、徒歩約7分
拝観料大人:500円、中高生:400円
拝観時間9:00~17:00
TEL075-861-1770
URLhttps://www.saimyoji.or.jp


栂尾山 高山寺~国宝「鳥獣人物戯画」で知られる世界文化遺産登録の寺院~

高山寺(こうさんじ)は、日本美術の至宝とも称される国宝「鳥獣人物戯画」やデュークエイセスの唄「女ひとり」のも歌詞の中に登場する寺院として広く知られており、世界文化遺産にも登録されています。奈良時代(744年)に創建され、当初は神護寺の別院でしたが、建永元年(1206年)明恵(みょうえ)上人が後鳥羽上皇より寺域を賜り、名を高山寺として再興されました。明恵上人が茶祖・栄西から禅の教えを受けた際に贈られた茶種を山内に播いて栽培を始めたことから、日本のお茶の発祥地でもあります。現在でも「日本最古之茶園」碑が立つ茶園では5月中旬に茶摘みが行われています。
高山寺の拝観ルートは周山街道沿いの表参道と栂ノ尾バス停からの裏参道の2つがありますが、バス停から近い裏参道が最近では主流ルートです。表参道にはかつて大門があり広々としていますが、裏参道は苔に覆われた石段の小径をつづら折に登って行きます。石段を登った先には白壁が続き、そこが明恵上人の時代から唯一残る遺構である国宝「石水院」です。一重入母屋造(いりもやづくり)の建物は、明治22年(1889年)に現在地へ移築され、住宅様式に改変されました。西正面は、かつて春日・住吉明神の拝殿であったところで、正面には神殿構の板扉が残り、欄間には富岡鉄斎筆「石水院」の横額が掛かっています。落板敷の中央に、小さな善財童子(ぜんざいどうじ)像が置かれています。善財童子のシルエット越しの紅葉の風景は、高山寺きってのフォトスポットとして人気です。また、石水院から望む真紅や橙色に染め上げられた紅葉に山々も見逃せません。

スポット情報

エリア名高雄
スポット名高山寺
所在地京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
アクセスJR京都駅・阪急電車大宮駅二条駅からJRバス「栂ノ尾・周山」行、または地下鉄烏丸線四条駅・東西線太秦天神川駅から市バス8系統「高雄・栂ノ尾」行に乗車、栂ノ尾バス停で降車、徒歩約5分
拝観料秋期入山料:500円(10月7日(土)から12月上旬まで)、石水院拝観料:800円
拝観時間8:30~17:00
TEL075-861-4204
URLhttps://kosanji.com

(掲載日:2023年10月6日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局