客殿で、苔と緑が見事なお庭「聚碧園(しゅうへきえん)」についてご解説いただきました。
「聚碧園」は、客殿からの池泉鑑賞式庭園で、江戸時代の茶人、金森宗和の修築と伝えられています。その名のとおり、みどりを集めたお庭です。
「初めてこのお庭を見たとき、世の中にはこんなに緑色があるんだ、と、緑色の種類の多さにびっくりしました」。初めて自分の目で緑色の豊かさを確認することができたと思ったそうです。
ほんとうに緑の彩りが豊かです。同じ木の葉でも濃かったり淡かったり、また新緑の季節や梅雨の時期、紅葉前の初秋頃など、時期によっても色合いが異なり、庭園全体の表情も違うといいます。
作庭されたとき、植樹された木はまだ小さかったはずです。それが生長してこんなに大きくなっても庭全体の景色に違和感がありません。この変化に富んだ庭の光景が、見事に美しく調和しています。計算し尽くされているのでしょう。ほんとうに「すごい」の一言しかありません。
客殿も庭よりあとの時代につくられました。庭園がメインになるように、こうした間取りで建てられたのかもしれません。
ひとつひとつの柱をフレームに見立てて客殿から眺める“額縁庭園”。あくまでも庭が主役といえそうです。
庭についてのお話のあと、写真撮影の時間を設けてくださいました。ほかの参拝者がいない、早朝の貸し切りの時間。独り占め状態で庭を撮影できるなんて、これはめったにないチャンス。逃す手はありません。たっぷり、ゆっくり、撮影することができました。