伏見神宝神社~狛龍が拝殿を護るパワースポット~

伏見神宝神社の読み方は「ふしみかんだからじんじゃ」です。社殿や標柱には神宝は旧字体の「寶」が使われています。地元では“神宝(しんぽう)さん”とも呼ばれています。
主祭は天照大御神で、稲荷大神を配祠、十種神宝(とくさのかんだから)を奉安しています。創建は平安時代初期で、かつて稲荷山に祀られており、宇多天皇をはじめ皇室の信仰も篤かったのですが、中世以降衰退し、昭和32年(1957年)今の場所に再建されました。

十種神宝(※)は、別名「天璽瑞宝十種(あまつしるしみずたからとくさ)」とも呼ばれる天孫の証となる10種類の宝物で、三種の神器のルーツとされています。
物部氏の祖である饒速日命(にぎはやひのみこと)が天磐船(あまのいわふね)に乗り、天降りする際、天神御祖(あまつかみみおや)から授けられた神器のひとつで、死者をも蘇らせる霊力を有する最強の神器です。
境内の摂社・末社には、龍頭社、八大龍王大神、白龍大神が祀られ、まさに龍神のパワースポットです。
沖津鏡(おきつかがみ)、辺津鏡(へつかがみ)、八握剣(やつかのつるぎ)、生玉(いくたま)、死返玉(まかるかへしのたま)、足玉(たるたま)、道返玉(ちかへしのたま)、蛇比礼(おろちのひれ)、蜂比礼(はちのひれ)、品物之比礼(くさぐさのもののひれ)

伏見神宝神社への行き方

伏見神宝神社へは、伏見稲荷大社の本殿から千本鳥居を通り、奥の院(奥社奉拝所)から熊鷹社へと向かう途中にある「値上がり松」の手前右側に案内看板が出ている階段状の山道を徒歩約2分(150m)で到着します。
伏見稲荷大社の神域にありますが、摂社・末社ではなく独立した神社ですので伏見稲荷大社の公式HPの境内マップには掲載されていません。

拝殿を護る狛犬ならぬ「狛龍」

拝殿には「神寶宮」の扁額が掛かっています。その前には狛犬ならぬ、左右1対の「狛龍」が鎮座しています。向かって左が「地龍」、右が「天龍」で、あらゆる願いをかなえる力があるとされる、金色の「如意宝珠」を持ち拝殿を護っています。この2頭の龍は、天照大御神の神使(しんし)=神様の使者とされており、天と地を行き来しているそうです。

龍頭社~願いが叶う龍頭像~

境内の摂社のひとつ「龍頭社(りゅうずしゃ)」には、稲荷山の地主神とされる龍頭大神が祀られています。西陣織の金具の龍頭にちなみ“衣の神様”とされています。
祠の横には水の中から姿を表す龍頭像あり、龍が口にくわえている宝珠を回しながら祈ると願いが叶うとされています。
伏見神宝神社は「竹取物語」発祥の地とされています。龍頭社に祀られている龍頭大神は、かぐや姫は求婚者のひとりである大納言大伴御行(だいなごんおおとものみゆき)に出した難題、龍の首にある五色の玉の持ち主でなのです。

八大龍王大神・権太夫大神・白龍大神の三神

社殿奥の末社には八大龍王大神・権太夫大神・白龍大神の三神が祀られています。八大龍王大神(※)は法華経に登場し、法華経の最高位である観音菩薩様を守護する天龍八部衆に所属する龍族の8人の王です。
白龍大神は古代中国で、天上界の皇帝である天帝に仕えているとされた、全身の鱗が白い龍。特に早く空を飛ぶことができ、他の龍に追いつかれないと言われています。五行思想において、白は西を意味するため、白龍を白虎と同様、西方を守護する神聖なものとされています。
権太夫大神は伏見稲荷大社の伏居イなるの維なるの大己貴神(=大国主神)の別名であり、大国主神は大黒様とも呼ばれ、福の神とされており縁組と商売繁昌に御利益があるとされています。

難陀(なんだ)、跋難陀(ばつなんだ)、娑伽羅(しゃがら)、和修吉(わしゅきつ)、徳叉迦(とくしゃか)、阿那婆達多(あなばだった)、摩那斯(まなし)、優鉢羅(うはつら)の各龍王

稲荷山遥拝所~降臨神石は最強のパワースポット~

本殿の奥に建つ稲荷山遥拝所は、霊山である稲荷山を遥拝する場所。朱塗りと竹製の2つの鳥居の真下には、磐境(いわさか)があり、神社の御神石とされる、降臨石「たけのこ石」が祀られています。
稲荷山の一の峰の直線上に遥拝所は位置しており、稲荷山の神様の気が集まる場所で境内で随一のパワースポットとされています。

龍にちなんだ授与品と魔よけの御札

社務所では様々な授与品があります。御朱印、十種神宝をモチーフにしたペンダント、竹取物語にちなんだ竹の形の御守り、かぐや姫がデザインされた絵馬、紙人形の「叶雛(かなえびな)」などがあります。
今回授与いただいたのは、龍にちなんだ「龍みくじ」と「隼人の盾の御札」の2種類。龍のおみくじは、緑色をベースに金色ちりばめられています。体は真ん丸で愛らしいデザイン、胴体には“神宝神社”の印が押してあります。
隼人の盾の御札は三角と渦巻きがデザインされた長方形の御札。隼人の盾とは、奈良の平城宮跡より出土した、京に移り住んでいた隼人(※)が警備や儀式の際に使用した8世紀前半頃の木製の盾のこと。
渦巻文をふたつ連結した逆S字状の文様が中央部に大きくえがかれ,上と下の端は連続した鋸歯のような三角文でふちどられており、魔除けの意味を持つとされています。
この写真を見た若かりし頃の現宮司が、その優れた画面をはみ出る大胆なデザインに魅せられ、原寸大の盾を作成し本殿に奉納、神社らしいデザインの修正を加え10分の1のサイズに縮小し、御守りとして授与を始めたそうです。
三角形の鋸歯の紋様は鋭い歯先を持龍の歯、黒と赤の渦巻文は龍が火焔を吐き、邪を顕正するようにも見えるそうです。

古代南九州に住んでいた人々

スポット情報

エリア名伏見
スポット名伏見神宝神社
所在地京都市伏見区深草笹山町15
アクセスJR奈良線稲荷駅から徒歩約15分、京阪本線伏見稲荷駅から徒歩約18分
拝観料無料
TEL075-642-5838

(掲載日:2023年12月16日 情報提供:とっておきの京都プロジェクト事務局