人形は宮中での正装の姿を模していて、お雛さまは十二単、お内裏さまは束帯(そくたい)です。
そういえば、よく目にする雛飾りは、お内裏さまが向かって左、お雛さまが右側に座っています。こちらの雛飾りはお人形の位置が逆。どういうことなのでしょう。
もともと日本の都づくりは大陸にならっており、「天子は南面して座す」という習わしも中国に由来して取り入れられました。そして天子に向かって右側が上座とされます。
そうした、かつての御所のしきたりや習わしを踏襲して写し取っていくのが、有職形式なのだそう。だから有職雛はお内裏さまが向かって右、お雛さまは左側に座ります。
明治維新のあと、西洋に並ぶためにそのスタイルが取り入れられるようになり、それにつれて上座の位置も変わっていきました。雛人形の飾り方も、そうして変化していったのでしょう。有職という様式に、御所をいただく京都ならではの矜持を感じます。